根管治療という治療があります。
虫歯が大きく神経まで到達している時や、すでに神経の処置をした後で根管内に感染を起こした場合などに行うものです。
根管治療はとても小さく暗い場所を扱う処置で、以前は盲目的に術者の感覚で行う部分が多い治療でした。
しかし近年では様々な器具の開発により、有視界下で精密な治療が可能となりました。
当院で治療に用いている器具を一部紹介します。
①歯科用コーンビームCT(PAPAYA3D GENORAY)
通常のレントゲンは二次元の画像であるため、根管の構造の把握には限界があります。
CTを用いることで、三次元の情報を得ることができ、根管内の構造を正確に把握した上で治療を行うことができます。
また、医科用CTと比較して被曝量が少ないのも特徴です。
②手術用実体顕微鏡(PRIMA YOSHIDA)
顕微鏡を用いることにより、十分な照明と拡大倍率(5〜20倍)にて治療を行うことができます。
根管内を「小さく暗い」から「大きく明るい」状態で治療ができるため、従来では感覚に頼っていたところを見える状態できちんと治療することができます。
③ラバーダム防湿(Ivory Premium Rubber Dam Kulzer)
治療する歯の周りにゴムを装着して患歯を唾液の汚染から守る方法です。使用することにより根管治療の成功率が上昇することが多くの論文で示されていることから、ほとんどの症例においてラバーダム防湿下にて治療をしています。
④エンドモーター(X-Smart IQ Dentsply Sirona)
根管の形を整える際に以前は手で回すファイルという器具を用いていました。
しかし、ニッケルチタンファイルというよく曲がる回転切削器具の開発により、より根管の形を傷つけることなく形を整えることが可能になりました。
また、器具にかかる負荷を常にi-Pad上で監視することにより器具の破折のリスクを抑えることができます。
⑤根管内超音波洗浄チップ(イリセーフファイル 白水貿易)
根管の形態は非常に複雑で、器具にて拡大するのには限界があります。
薬剤による洗浄で根管内を消毒しますが、その際に超音波を用いることにより洗浄効果を高めることができます。
⑥CWCT法根管充填システム(ダイアペン/デュオガン MORITA)
根管内を洗浄、拡大した後は、再度の感染を防ぐために根管内を封鎖します。根管充填を行う方法は、水平加圧と垂直加圧の2種類に大別されますが、当院では主にCWCT法という垂直加圧の根管充填方式を採用しています。封鎖性がよく、複雑な根管形態に対応が可能です。
根管治療は歯を残すための重要な治療です。
歯の形態は様々で、非常に難しい治療ではありますが、様々な器具を適切に使用しながら丁寧な治療を心がけていきます。
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