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執筆者の写真宮城和彦

SLOW DENTISTRYという考え方

更新日:2021年4月22日



歯科診療において、「時間」という概念はとても重要です。

受診される皆様は早く治療が終わるといいと思われていると思います。

1日の治療に関しても、全体の治療期間に関してもそうです。

もちろん私たちも、その要望になるべく応えたいと思っています。


技術の進歩は目覚ましく、新しい技術がそれを可能にする側面もあります。

コンピューター上でシミュレーションした手技を実際の手術で再現するためのガイド。

光で口の中の型を取る機械。

石膏模型を必要としない、詰め物、被せ物の作製。

新しい技術を取り入れることにより、時間を節約することが可能となってきています。


しかし、スピードアップできないこともあります。

「資料を元に治療計画を練る」というのは時間をかける必要があります。

短時間のコミュニケーションで信頼関係を築くことはできません。

患者様が歯科的知識を身につけ、ホームケアを充実させるにもやはり時間がかかります。

複雑な根管の治療や難しい抜歯の治療など、生体の複雑性というのは昔から変わりません。

それらの治療時間を短くすることは治療精度の悪化につながります。

診療室の消毒にも時間がかかります。


私たちは常に良質な医療を提供したいと思っています。

そのために、やはり時間をかけるべきところにはしっかり時間をかけることが必要なのです。


「SLOW DENTISTRY」という考え方があります。

ポルトガルで開業されているMiguel Stanley先生が提唱するこの考え方は、歯科における「時間」に注目したものです。

「時間をかけること」と「質が高いこと」は密接な相関があり、歯科業界全体が少しスローダウンするべきだと主張しています。

しかし現実では世界的に歯科産業がビジネスの観点で捉えられ、競合を負かすために1日に多くの患者を診療し、結果的に質が担保されず、患者側にも医療者側にも大きなストレスがかかっているのではないかと同氏は危惧しています。


「SLOW DENTISTRY」では、良質な医療を提供するために下記の4つをきちんと実践することを提唱しています。


1 局所麻酔が効くまできちんと時間をとる。

2 根管治療や必要とする他の治療について、ラバーダム防湿を利用する。

3 国の基準に沿った診療室の消毒をきちんと行う。そのための時間を取る。

4 治療についてリスクや利点をしっかり説明し、同意書にサインをいただく。


当院では、「予防歯科を、丁寧に。」というものをキャッチコピーにしています。

大急ぎで丁寧に、というのはあり得ません。

私たちは従来より、この時間という概念を大事にしてきました。

この度「SLOW DENTISTRY」という考え方を知り当院のポリシーにフィットすると感じたので、この考え方に賛同し参加することを決めました。


受診される皆様に良質な医療を提供するために、当院でも上記の4点を実践していきます。

実践することにより、1日の治療時間や全体の治療期間は長くかかるかもしれません。

しかし、それは必ず受診される皆様にとって利益になると私たちは信じています。


SLOW DENTISTRY英語ページ


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