Medical Treatment Model
メディカルトリートメントモデル
旧来の「症状があるところを治療する」歯科医療では
生涯の健康を守ることはできないと私たちは考えています。
「メディカルトリートメントモデル」は、
①リスク評価を含む全顎的検査
②病気の根本原因の除去
③再発予防のためのメインテナンス
これら3点を基本とする歯科診療システムです。
メディカルトリートメントモデル(MTM)とは、初期のリスク評価から、個々の患者さんに合わせた予防プログラムの立案、最小侵襲治療などを行い、定期的なメインテナンスに至るまでの流れです。イエテボリ大学名誉教授のBo Krasse先生が紹介したものを山形県酒田市で開業されている熊谷崇先生が臨床に応用し、彼が主催したセミナーの受講生であるオーラルフィジシャンと呼ばれる先生方を中心に日本中に広まりました。
歯を失う原因のほとんどは「むし歯」と「歯周病」です。これらの病気は他因子性疾患と呼ばれるもので、病気の発生、進行に多くの要因が関係しています。すでに発生した病気の結果、例えば「開いてしまったむし歯の穴」や、「減ってしまった歯を支える骨」に対して症状を改善させるだけの治療を行なっても、原因が取り除かれなければ病気は再発し、また治療が必要となります。治療を繰り返す内に歯の寿命は確実に短くなっていきます。結果として、必要な時に歯医者に通い治療を受けていたにも関わらず、次々に歯を失っていくということが起きてくるのです。
MTMの診療では、最初にお口の中全体の検査を行います。この検査により現在のお口の中の状況を把握すると共に、一人一人違う病気のリスクについて評価します。この結果を元に、個々のリスクに合わせた予防プログラムを立案し、治療の初期段階で徹底的にリスクの改善を図ります。この点がMTM診療の特徴です。旧来の歯科臨床では症状がある部位や失われた機能をいかに回復するかに重きが置かれていましたが、MTM診療ではそれらの症状や機能が失われた理由について深く考察し、原因の除去が達成された上で必要な治療を行なっていきます。
治療については科学的根拠に基づいた治療プランに基づいた治療計画を立案し、その内容についてきちんと説明を行い同意を得た上で治療を行なっていきます。
治療後は個々のリスクに合わせた予防プログラムについて担当の歯科衛生士と確認を行い、お口の中の健康維持のためのメインテナンスを行なっていきます。病気の発生原因となるバイオフィルム(細菌の塊)を定期的に破壊し、普段の生活の中でリスクコントロールがなされているかを確認することで、「病気を発生させない」ことが目的です。一般的な定期検診の目的は「早期発見」ですので、メインテナンスと定期検診には目的に違いがあります。
本来医療とは治療をすることではなく、健康を維持することにこそ価値があります。当院はMTM診療を基本とした予防歯科診療を行うことにより、皆さまの生涯にわたるお口の健康維持に貢献したいと考えております。