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執筆者の写真宮城和彦

院内勉強会(バイオフィルムについて)

更新日:2020年1月7日


毎月1回、院内でスタッフの勉強会を行っています。

毎回テーマを決め、発表者がそのことについて調べて発表を行い、

そのあと全員でディスカッションを行なうというものです。

1月の勉強会の中で、「バイオフィルム」という言葉が出て来ましたが、

院内のスタッフの中でも、その認識は曖昧なものでした。

皆さんは「バイオフィルム」をご存知でしょうか。

歯の汚れは、「歯垢(しこう)」と言ったり「プラーク」と言ったりします。

「バイオフィルム」という言葉が歯科の分野で認知されだしたのは、

1999年、J.W.CostertonらがSCIENCEという科学誌にて提唱してからだそうです。

「バイオフィルム」とは、機能を持った細菌の集合体です。

様々な種類の細菌により構成され、内部で情報伝達や栄養の代謝を行い、

単独でいる時と比べ、抗生物質や免疫に対する抵抗性が強いことが特徴です。

Bacterial Biofilms: A Common Cause of Persistent Infections: J. W. Costerton, et al. SCIENCE 21 MAY 1999 VOL 284.

上記のREVIEWにおいて、「バイオフィルム」は様々な病気の原因となっていることに言及されており、その筆頭に虫歯と歯周病が挙げられています。

虫歯や歯周病は細菌感染症ですが、その細菌は「バイオフィルム」を形成しているため、

単純に抗生物質を飲むだけでは効かないし、体の免疫に抵抗する力も強いということです。

「プラーク」と「バイオフィルム」について、

「プラーク」とは、単純に歯の汚れのことを指しますが、

「バイオフィルム」とは前述の通り、歯に限らない、機能を持った細菌の集合体を指します。

もともと「プラーク」と呼んでいたものが、「バイオフィルム」により構成されていたので、

「プラークって、バイオフィルムだよね。」という風に認識された訳です。

日本歯周病学会のホームページにも、同じものとして扱われています。

http://www.perio.jp/qa/

海外の論文を検索すると、「Dental plaque as a Biofilm」という形で表現されることも多いようです。

では、「プラーク」または「バイオフィルム」を歯磨きで全て落とすことは可能でしょうか。

残念ながら、普段の歯磨きでは、歯と歯の間、後ろの歯のさらに奥、歯周ポケットの中など、

目で見にくい、もしくは見えないところは感覚で歯磨きを行います。

それですべての部位を完璧に歯磨きできる人はいません。

どんなにお掃除が好きな人でも、目隠しして家の埃を全て取るのは難しいでしょう。

その普段磨けないところを補うために、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアは欠かせないのです。

正しい知識をスタッフ間で共有し、患者さんに還元していきたいと思っています。


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