今も昔も虫歯や歯周病はお口の悩みの種です。
それは地位や家柄に関係なく、
昔の有名人も実は虫歯に悩まされた人がたくさんいました。
イギリスのエリザベス1世は虫歯で歯が真っ黒だったそうです。
徳川15代将軍の徳川家茂は21歳の若さで亡くなりましたが、
その死因に虫歯も関係していたのではないかと言われています。
アメリカ初代大統領のジョージワシントンは若くから歯周病で、
28歳の時にはすでに部分入れ歯を使っていたとか。
古代エジプトのミイラを調べてみても虫歯や歯周病はあり、
旧石器時代のネアンデルタール人にも一部認められるようです。
ですが、進化の過程でそれ以前の猿に近い種族になると、
そういった歯のトラブルは見られなくなるようです。
この違いは一体なんでしょうか?
答えは「食」にあります。
本来口というのは、捕食するために使用する部位であり、
その食べ物が消化管を通る過程でだんだん消化され、短い分子に分解されて行きます。
この分解が進んだ食べ物は、細菌が栄養にできるのですが、
分解されていない食べ物というのは、高度な消化器官を持たない細菌にとっては
ちょっと食べづらいものなのです。
口というのは本来そういった、「まだ消化されていない食べ物」が
通る場所だったので、細菌の生育に適した環境ではありませんでした。
しかし、火を使うようになり、土器を使うようになり、
農耕を行うようになり、人類は、ただそのものを食べるのでなく、
事前に料理をして美味しく食べるようになりました。
料理をするということは、火を通したり煮込んだり、
長くつらなった分子を分解する作業に他なりません。
その結果、口の中にも細菌が利用できる栄養がたくさん運ばれるようになり、
口の中に細菌が住んでいける環境が整ってしまったわけです。
お口のばいきんと「食」というのは切っても切れない関係です。
原始時代のような食事にしてしまえば虫歯も歯周病も減りますが、
美味しいものを食べたいですよね?
美味しく食べて、しかも歯を失わないように、
きちんと自分のリスクを自覚して、歯の予防をしていきましょう。