先日、静岡で開催された予防歯科の講演会に参加しました。
講師は加藤大明先生で、予防で有名な日吉歯科医院に以前勤務されていました。
現在は福岡で北欧歯科という歯科医院を開業され、診療の傍ら精力的に講演活動をされています。
↑北欧歯科ホームページ
今回の講演会は、副題が「〜引き算のう蝕予防〜」でした。
予防のためにあれもこれもと取り入れる「足し算」的な手法ではなく、科学的妥当性が高い情報に基づいて、効果の低い、もしくは定かでないものを除いていく「引き算」的な手法で予防の質を高めるといった内容でした。
予防歯科という言葉が定着し、そのための情報は世間一般に溢れかえっています。
CMやインターネット、医療情報番組に歯科医院での話など。
たくさんありすぎてどれも実践しようとするあまり、大切なものが分からなくなってしまっては元も子もありません。
虫歯の予防についてお話しします。
・磨き残しが少ないよう歯磨きをしましょう。
・歯が溶ける頻度が少なくなるよう、ダラダラ食いは控えましょう。
・キシリトールガムを噛んで歯の再石灰化を促しましょう。
・1歳半から3歳までのミュータンス菌の感染をなるべく防ぎましょう。
上記の指導内容は虫歯予防の際によくお話しする内容です。
効果を検証した論文もあり、虫歯の予防に効果があると根拠を持って言えると思います。
しかし、その「根拠」に強い弱いがあるのです。

科学的根拠のことを「エビデンス」と呼びます。
科学論文に掲載され、「根拠がある」「エビデンスがある」と言っても、
実際にその根拠はランク分けがあり、強いエビデンス、弱いエビデンスがあるのです。
虫歯の予防において、最も高いランクでエビデンスがあるものはただ一つです。
それは、「フッ素の使用」です。
「コクラン(Cochrane)」という、医療情報に対する高いエビデンスを提供する機関があります。
その審査は非常に厳しいのですが、虫歯の予防においてフッ化物配合歯磨剤の使用は明確な根拠があると結論づけています。
他の虫歯予防の方法も効果はあると考えますし、当院でもおすすめしています。
しかし、最も強く推奨されるのはフッ素の使用であり、その優先順位は間違えてはいけません。
多くの情報を提供することも大事ですが、何が一番大事なのか、という観点からも、患者様に正しい、有益な情報を発信していきたいと思います。