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執筆者の写真宮城和彦

KEEP28

更新日:2021年4月22日

「8020運動」というものがあります。

1989年から、国と日本歯科医師会により推進される運動で、80歳になった時点で20本歯が残っていることが目標というものです。

運動開始時の日本国民の口腔内の状態はというと、8020の達成率は7%程度、平均残存歯数は4~5本という、燦々たるものでした。


残存歯の数はそれから徐々に改善していきました。

2016年の歯科疾患実態調査を元に算出した8020の達成率は50.2%と、現在はご高齢でもかなり多くの歯の数が残っていることが分かります。

「8020運動」というのは語呂も良く、歯科医院に受診される方でも「8020運動」を知っていて、それに向けてなるべくたくさん歯を残したいという方が多くいらっしゃいます。

運動が始まって30年ほどですが、「8020運動」はきちんと認知され、お口の健康増進に対して効果があったのではないかと思います。


さて、最近よく聞く言葉に「人生100年時代」という言葉があります。

もともと、ロンドン・ビジネス・スクール教授による「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」で提唱された言葉で、先進国において2007年生まれの子供の2人に1人が100歳を超えて生きると予想したことが始まりです。

もしこれが事実だとすると、「8020」はより良い人生を送る上で十分な目標でしょうか。

1989年ごろは男性の平均寿命は76歳、女性は82歳ぐらいでした。

「8020」という中の80歳はほぼ平均寿命と同意であり、一生涯で20本歯を残そうという意味合いに近かったように思います。

しかし、100年を生きるとするなら80歳は通過点に過ぎません。

新しい時代に合った新しい目標が必要であるように思います。



「KEEP28」という言葉があります。

私たちオーラルフィジシャンが提唱する、一生涯全ての歯を残そうというスローガンです。

さらに、ただ単純に残っているだけではなく、健康で、しっかり機能する歯を残すことが必要です。


治療を受けた歯が再治療を必要とするまでの平均期間は10年以下と言われています。

もし若いうちに歯の治療を行い予防を行わなければ、その歯は一定の期間で治療を繰り返すことになり、最終的には抜歯に至ります。

とても100年保つことは不可能でしょう。

大切なのは、発生してしまった疾患に対してコストをかけることではなく、まだ発生していない段階からコストをかけることだと考えています。


誰でも歯が痛くなれば歯医者に行きます。

歯の問題を自分で感じていない段階から歯医者に行くというのは難しいということも理解できます。

しかし、自分の将来のお口の中の健康に対して、より良い投資はどちらでしょうか。

自費治療のコンポジットレジン、セラミック、顕微鏡を用いて行う根管治療、インプラント、どんな素晴らしい治療も、健康で機能する自分の歯よりも劣るものです。

もしあなたがお口の健康を守りたい、良くしたいとお考えであれば、まずは病気の発生を防ぐ、予防歯科をきちんと実践することが必要です。


「KEEP28」


私たちは、患者さん一人一人のお口の状態を把握し、何が将来にとって必要なことであるかを見極め、それを伝える歯科医院でありたいと思っています。

理想の形とは、初診の段階で必要な治療、リスクのコントロールを行い、その後はメインテナンスのみで、一切治療を必要としないまま一生を終えるということでしょう。

それがとても難しい目標であっても、それに向けて日々研鑽を積むことが、予防歯科を標榜する歯科医院としての責任であると考えています。

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